第2回 「LとR」

義眼を使用している当事者 dekoさんによるコラム連載。

第2回は幼児期の経験の大切さについて

幼少期から大人へ。当事者は何を思い、何を感じているのか。一つのヒントになれば。


皆さまこんにちは。

今回からはやっと普通にコラムを書いて行きます。

主立った部分は、経験則や考察が多くなると思いますが、宜しくお願いします。


皆さんはテレビや子育ての場でこんな事を見聞きしたことは有りませんか?

「英語のLとRの発音は、幼児期に経験していないと大人になってから聞き別けられない」

私はこの事柄と、片眼の人の「立体感覚」とは似てるんじゃないかな?と思うことが有ります。

目の分野はそう言う検証結果が何処にも無いので確証は持てませんが…、


例えば両眼見えていた人が後に片側の視力を失うと遠近感が分からないとか、感覚が合わなくて生活に支障が有るとか述べている方は何人も居られます。

それと、

片眼視でも段差や高低差などの遠近感や立体感を必要とする物に対して、苦手な人と全然大丈夫な人と別れているように感じています。

著者は物心付いた時には片眼視でしたが、

幼少期から段差などを全く苦手としたことが無く、小学生の頃などは階段を掛け降りる競争など2段飛ばしで降りるくらい特に得意分野でしたが…、

褒められる行為では無いので自慢には出来ませんね(笑)


この辺りは段差や奥行き、立体物への

「視的な違いを実際に体感した量」

「視覚と手足の感覚を連動させた量」

「それを幼い時期に知った経験量」

などがやはり英語のLとRの発音のように関わっているのではないかな?

と言う感じです。


以下はネットに載っていた、

幼児から小児までに「音域」の聞き分け習得具合についての記事を纏めました。


生まれたばかりの赤ちゃんは、世界中どの赤ちゃんも低音域20ヘルツから高音域約20000ヘルツまで聞き取れる可能性を持ち、耳に入る音の刺激を受けて、脳は言葉のチャンネル作りをする。
研究報告では早い子で3歳までに、遅い子でも5歳くらいまでにこの脳の言葉のチャンネル作りを終え、その後も9〜10歳くらいまではかなりの音の周波数に対応出来る耳を持っているが、11〜12歳を過ぎるとそれまで聞いていた言葉の音域に耳が固定されてしまうそう。
そして、耳が固定された後は、自分の知っている音以外の音は、無意識に雑音と処理され、耳に入ってこなくなる。
つまり、日本語しか聞かずに育った場合、日本語の音域でカバー出来ていない英語の音域の音が発音出来なかったり聞き取れなかったりする。
よって、耳が固定される10歳前くらいまでに、広い音域を聞かせる事が出来れば、日本語にない音も聞き分けられるということになる。


あくまでも音域の聞き分けの話では有りますが、

片眼で生きて来た個人的には片眼視による立体把握も似たようなメカニズムではないかなと思いました。


こう言うことを比較に出してしまうと、

「いつまでにこれが出来てないからもうダメ」

なんて諦めや否定的な考え方も出て来るのかもしれませんが、そうはならないで欲しいです。

私としては状況を考察したうえで、

「これからの可能性」

の話をして行きたいのです。



ただ、

これだと確実にダメだろうなと思うこと。


立体視や奥行きを知らないといけない成長期に、

主だった視界がテレビモニターやスマホ、本ばかりで生活すれば立体的な見え方は習得しにくいだろうと言うこと。

平坦な環境のみで段差などに気を配らない日常だと、段差の対応が楽になる経験は得られない。

これに対してはやはり数を経験することが感覚に繋がるはずです。

それと、道具による手先を使った行動や遊びの体験が圧倒的に少ないと手先より先の空間認識は乏しい。

見るだけではなく実働的な何かが無いと経験にはならない。



小さい時ほど多彩な経験はしておかなければいけないだろうなと思います。



何でも便利になった最近の子達の方が、昔の子供のように不便な環境で考え・経験する数は少ないかも知れませんね。

そう考えると、

「現代っ子ほど立体感を把握しにくい」

環境なのかも知れません。



理想はやはり広い視野や高さ・段差などの経験を得やすい外で体を使った遊びかもしれませんが…、

最近は町中で外遊びと言うのはなかなか難しいご時世では有ると思います。

そして環境が有ったとて、外遊び自体インドア派にはなかなか難しいものです。

なので何か身近で普段から使えるような物が奥行きや段差などを知る術になれば理想と思います。



インドアでなら例えばですが、

最近は知育玩具や精巧な組み立て玩具なども多い物です。


著者は兄の影響も有りましたが、

ごく幼い頃から組み立て玩具では遊んでいました、

ブロックなどで思い思い動物や乗り物、怪獣作ったり、プラレール組んだり、模型も図面見て・完成写真見て作ったりと、

意外と身近に凹凸や奥行を感じさせるツールは有ったように思います。



そう言う分野はやはり、身近な者が実演で見本を見せたりするほど切っ掛けは増えると思います。導くための取っ付き易い見本を作ってあげることも大事ですよ。

ただ、

小さい玩具は誤飲の原因になりますから、年齢も考えて使って貰う必要が有ると思います。


せっかく「会」と言うコミュニティが出来たのですから、知育を兼ねた「視育」など皆さんで考えてみても良いのかも知れませんね。



ー次回掲載は2019年2月を予定していますー



小児の義眼の会「まもりがめの会」

網膜芽細胞腫・小眼球症・無眼球症その他幼少期の疾患などで小さな頃から眼球・視力を失った子供・そして親、成長した当事者のための義眼の会として発足しました。

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小児の義眼の会「まもりがめの会」

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